カールの曲がった地平線

都内在住31歳の独身サラリーマンが、日々木工や読書、散歩などを楽しみつつ、いつか脱サラして小屋暮らしや旅暮らしをすることを夢見るブログ

伊豆旅行(1日目)~三島大社、韮山反射炉、長岡温泉郷~

6月に3日間で伊豆を旅行してきました。伊豆といえば、天城山脈を中心とした山々の豊かな緑と水、新鮮な魚介、そして温泉といった、英気を養うのに必要な要素はみんな揃っている、日本有数の観光地です。


伊豆といえば、やはり川端康成の『伊豆の踊子』が思い浮かびます。僕は概して川端は作品が抽象的に思えて好きではないのですが、伊豆の踊子や雪国はその中でも分かりやすい部類なので共感できます。

旅程

  • 1日目…三島、韮山
  • 2日目…踊り子歩道
  • 3日目…下田

ということで、伊豆の踊子をメインテーマとして出発します。

1日目

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まず三島にやってきた。三島は富士の麓にある町で、地下にしみ込んだ富士の融水が、市街のいたるところから湧き出している。
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湧水は清く透き通った流れとなって、街中に張り巡らされた水路を、心地よい音をたてながら流れていく。
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水路沿いに歩いて三島大社にやってきました。
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立派な造りの三島大社。境内には樹齢1200年と伝えられる金木犀が生えていました。
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三島大社の正門から出て、伊豆急行三島田町駅にやってきた。ここから電車で韮山へ向かいます。韮山反射炉は一駅先の伊豆長岡駅の方が近いとのことなので、そちらで下車。
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伊豆長岡駅から反射炉まえは約1.6kmの道のり。のどかな田園風景の背景には、いびつだが丸みのある山々が見えた。
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反射炉は160年ほど昔に完成したもので、鉄を溶かして大砲や砲弾を鋳造するための4基の炉と、鉄を流し込むための方形の鋳台があった。のちに反射炉の所有者となった江川氏は、東京の台場を築いた人物らしい。この4m四方の鋳台の地下には、900本もの松杭が隙間もなく打ち込まれているため、地震に強いそうだ。
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反射炉の横には古川が流れており、反射炉の稼働力源として使用した水車の設置跡が残っている。
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反射炉を後にして江川邸へ向かう。案内板に従って歩くこと2.3km。途中山の中を通り、正しい道かどうか疑ってしまった。高低もあった。そのため韮山市街が一望できたのはよかったが、40分もかかってしまい、江川邸に着いた頃にはその日の公開が終了していた。
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仕方なく韮山駅へ戻ったが、これがまた距離があった。今日はたまたま平日だったのですが、休日は反射炉、江川邸、駅を周遊するバスが出ていると観光案内所の人が教えてくれた。平日はアクセスがとても悪いことに留意しましょう。


再び伊豆急に乗り、伊豆長岡駅へ。駅から出てすぐの狩野川を渡ると、伊豆長岡温泉郷だ。一日の汗を流したい。ところが、どうも高級旅館ばかりが目につく。九州にあるような200円くらいで浸かれる温泉を期待していたのだが、そんなものはなさそうだった。地図に南公衆浴場を見つけて行ってみた。
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310円で浸かれてよかったが、浴場は趣はなかった。街中の地下にパイプが張り巡らされており、自治体から源泉を購入できるとのこと。


これは勝手な想像だが、自治体が温泉のサービスを行えば、住民は自宅で温泉に浸かれるようになるのだから、公衆浴場に行く必要がなくなる。そうなると温泉郷としては観光客を中心に受け入れるようにする他ない。すると、入湯料金は高騰し、高級旅館街が出来上がる。因果関係はこうではないだろうけど、少なくとも無関係ではないと思った。


温泉に浸かると足が軽くなった。日は暮れて辺りは真っ暗だ。虫や蛙の鳴き声が聞こえる。ここで、再び反射炉まで歩く。というのも、古川でホタルが見られるからだ。

ホタルは、一度に視界に入るのは多くて5匹程度で、あまり多くはなかった。5月末が多かったらしい。「私が子供だった頃は、辺り一面ホタルで、夜なのに明るいほどだったんだけどねぇ」と老婆の声が聞こえた。


ホタルの、のんびりとした飛行を追いながら、緩やかな点滅を眺めていると、無性に物悲しい気持ちになって、気持ちよくブラックニッカが体内を循環した。


伊豆急伊豆仁田駅へ移動した。着いたのは22時だった。国道(下田街道)沿いに田舎らしく大型店舗が集まっている。その辺りの漫画喫茶に泊まった。フラットシートに横になると、すぐに寝入ってしまった。