読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

タケウチCarlの地平線

都内在住31歳の独身サラリーマンが、日々木工や読書、散歩などを楽しみつつ、いつか脱サラして小屋暮らしや旅暮らしをすることを夢見るブログ

木でベッドを作る~その3~(たわみの式の導出)

DIY 数学

hikaroon.hateblo.jp
前回は、たわみを求める公式y=\frac{P}{4E}\frac{l^3}{h^3w}を使って、ベッドを構成する梁に対して重量計算をしました。重量計算を行う立場から言うと、公式を使えればよく、導出する必要は全くありませんし、理解する必要すらありません。なので、ベッド制作からは完全にわき道にそれるのですが、今回はこの公式を導出してみましょう。

全体的な図

まずはじめに、下図の状況を考えます。
f:id:hikaru_takeuchi:20161013233248j:plain:h320
この図では、中央に、上から力を受けて下に張り出すようにしなっている木材を書きました。右方向がxが正の方向で、上方向がyが正の方向と決めておきます(たわみとして使ったyとは関係ありません)。


ここで木材の中央に点線が書かれていることに注目してください。この点線は、木材が伸びも縮みもしない部分を表しました。下に張り出すようにしなるということは、木材の上の方は圧縮されていて、下の方は逆に引き延ばされているはずです。なので、その真ん中には伸びも縮みもしないところがあるというわけです。


たわみの公式を導出するイメージとしては、y=f(x)の式と書き表してやればいいはずです。

微小な部分に着目

さて、上の図で、木材の微小な一部分を拡大して図示したものが下図です。
f:id:hikaru_takeuchi:20161013232950j:plain:h320
木材は、もともとは長方形A'B'DCだったのですが、たわんだ結果平行四辺形ABDCとなっています。\rhoはこの小片の曲率半径です。つまり、たわみの曲がり具合とちょうど同じ曲がり具合の円の半径です。また、\phiはABとCDのなす微小な角です。


ここで、AB上にある一つの地点Xを考えます(たわんでいないときの同地点をX'とします)。簡単のため、Oのy成分を0とし、Xのy成分をyとします(こう仮定しても以下の議論には支障がないことが確認できます)。このとき、X地点における木材の伸縮度合\epsilon*1は、\epsilon=\frac{XX'}{CA'}=\frac{y\phi}{\rho\phi}=\frac{y}{\rho}です。

フックの公式

木材は一つのバネだと考えることができ、バネに働く力の大きさはばねの伸び(縮み)に比例するというフックの公式をあてはめることができます。つまり、地点Xにおける力*2\sigmaとすると、\sigma=E\epsilonの関係があります*3


フックの公式と、\epsilonとyの関係式から、\sigma=\frac{E}{\rho}yとなります。

応力

さて、これまでのところ、木材のたわみを作り出している原因である上からの力は全く現れていません。その代わりに、木材がたわんだ結果である木材内部に働く力が、応力σとして現れています。つまり、木材をたわませる力の情報は、応力σに込められているというわけです。


さて、上図の微小な四角形をナナメから見たところを思い浮かべます(下図)。
f:id:hikaru_takeuchi:20161013233718j:plain:h320
ABを通る断面をSとしています。S上に矢印を描いたのですが、これはS上の応力をイメージして描きました。


S平面にわたる応力\sigmaの和を考えると、S上で力が釣り合っていることから、0となります。つまり、\int_S{\sigma ds}=0。ここから\int_S{ydy}=0が分かりますが、これはAO=BOを意味しています(=点線は木材の中央を通る)。


次に、S平面にわたる応力によるモーメントの和をMとします。式に翻訳するとM=\int_S{\sigma y}dsですね。ここから、M=\frac{E}{\rho}\int_S{y^2}dsですが、木材の断面に従って決まる量である\int_S{y^2}dsをIとおけば、M=\frac{E}{\rho}I、つまり\frac{1}{\rho}=\frac{M}{EI}となります*4

曲率半径

下に張り出すようにたわんだ木材の曲がり具合をy=f(x)で表すときに、x地点における曲率半径は
\frac{1}{\rho}=\frac{f^{\prime \prime}}{(1+f^{\prime 2})^2}
となることが確認できます。


ですので、前のMと\rhoの関係式と合わせると、微分方程式
\frac{f^{\prime \prime}}{(1+f^{\prime 2})^2}=\frac{M}{EI}
が得られますが、(1+f^{\prime 2})^2はほぼ1ですので(微分方程式を解くために近似をして)、
\frac{d^2y}{dx^2}=\frac{M}{EI}
がたわみの式が満たす微分方程式となります。この微分方程式を解けばy=f(x)が求まるわけですが、その前に断面のモーメントMそして断面から決まるIを具体的に計算しなくてはいけません。

(続く)

*1:歪度といいます

*2:応力といいます

*3:Eはヤング率で、材質に固有の定数です

*4:この式にyが出てこないことが、Oのy成分を0としてよい理由です