カールの曲がった地平線

都内在住31歳の独身サラリーマンが、日々木工や読書、散歩などを楽しみつつ、いつか脱サラして小屋暮らしや旅暮らしをすることを夢見るブログ

木でベッドを作る~その4~(たわみの式の導出続き)

前回に引き続きたわみの式を導出します。
hikaroon.hateblo.jp
さて、前回までに以下のことが分かったのでした。

前回のまとめ

xを横軸、yを縦軸として、下に張り出すようにたわんだ木材を考えます。木材は、本当は真っ直ぐなのですが、上に重りが載っているためにたわんでいるのです。なお、重りはちょうど中央に載っています。
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この木材の中心線をy=f(x)とすると(図参照)、yは次の微分方程式を満たします。
\frac{d^2y}{dx^2}=\frac{M}{EI}
ここで、

  • Mは、木材において横軸がxである断面に働く力のモーメントです。重りによる木材内部への力のかかり方が、これに反映されることになります。
  • Eは、材質に固有の定数であるヤング係数です。
  • Iは、木材の断面の形状から決まる量です。

微分方程式を解くためにはMおよびIを計算する必要があります。

Iの計算

Iは、I=\int_S{y^2ds}と定義したのでした。ここでSは木材の断面、dsはこの断面上の微小な面です。
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木材の断面は高さh、奥行きwの長方形ですので積分は容易です。
I=w\int_{-\frac{h}{2}}^{\frac{h}{2}}{y^2dy}=\frac{h^3w}{12}

Mの計算

木材には、重りが木材を押す下向きの力P、支柱から受ける上向きの力Fが働きます。この3つの力は釣り合ってますので、F=\frac{P}{2}です(下図参照)。
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さて、ここで横軸がxである地点を境に木材を左右の部分に分けて考えます。左の部分に働く力はどうなるでしょうか(下図参照)。
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左端に、支柱から受ける上向きの力Fが働くことは同じですが、これだけでは力は釣り合いません。だからx地点の断面には下向きの力が働いおり、その大きさはF=\frac{P}{2}です。また、この断面に働くモーメントをMとすると、M=\frac{Px}{2}となります。

微分方程式を解く

以上から、x<\frac{l}{2}の場合に、微分方程式は以下のように具体的に書けます。
\frac{d^2y}{dx^2}=\frac{P}{E}\frac{6}{h^3w}x


上式をxについて積分して、
\frac{dy}{dx}=\frac{P}{E}\frac{6}{h^3w}\frac{x^2}{2}+C_1


ここで、重りが木材の中央に載っているため、たわみは左右対称になるはずなので、x=\frac{l}{2}で上式は0となります。ですから、C_1=-\frac{P}{E}\frac{3}{4h^3w}l^2


さらに積分して、
y=\frac{P}{E}\frac{6}{h^3w}\frac{x^3}{6}+C_1x+C_2


ここで、x=0のときたわみは0なので、(x,y)=(0,0)を上式に代入するとC_2=0が分かります。よって、
たわみy=\frac{P}{E}\frac{1}{h^3w}x^3-\frac{P}{E}\frac{3}{4h^3w}l^2x


となります。たわみは木材の中央で最も大きくなるので、上式でx=\frac{l}{2}とおくことで、
y=-\frac{P}{4E}\frac{l^3}{h^3w}
が得られました(y軸を上向きが正になるようにとっているため、たわんでいるところのy座標はマイナスになる。たわみの大きさとしては、上式の絶対値をとったものを使えばよい)。


なお、重りが木材の中央に載っている場合に限ったので、計算が若干簡単になっています。そうでない場合は、x<\frac{l}{2}の場合だけでなく、x>=\frac{l}{2}の場合も考えて微分方程式を解いていく必要があります。