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前回の記事では、ベッド制作に向けての意気込み(?)、条件設定そして大まかなデザインについて書きました。今回は、ベッドのデザインについてもう一歩踏み込んで考えます。具体的には重量計算をすることによって、制作に使用する木材のサイズを決めようと思います。
『重量計算』というのは正しい用語でないのかもしれませんが、「ベッドの上に重りを置いたと仮定したときの、ベッドの床板のたわみ」を計算することを意図しています。
どうしてたわみを計算するのかといえば、木が折れる前にはたわむわけなので、折れてしまうかどうかの一つの目安となるからです。また、たわみの大小が分かれば、使用時のことを想像することが容易になるためです。
ベッド底面のサイズ
重量計算に先立ってベッド底面のサイズについて簡単に述べておきます。ベッドの底面のサイズは敷布団の大きさから決まるのですが、布団を測ると100cm×210cmでしたので、ベッドの底面も大体この大きさになります。
そこでベッドの底面としては、長さ210cmの二本の梁に、長さ100cmの約10本の横板がまるですのこのように渡してある(通気性が悪いとカビが生えてしまいますからね)形だとします。
ベッドを構成する木材の中で一番曲がってほしくないのは、なんといってもこの210cmの梁です(上図の青色部分)。そこで、まずはこの梁に対して重量計算をしてみましょう。
210cmの梁の重量計算
計算にあたっては問題を簡略化し、梁の両端にはベッドの脚から受ける上向きのみの力が働くとします。また、梁の上には重りが載っており、その下向きの力は梁の中央の一点のみにかかるとします。なお、梁の自重は無視できるとして考えません。梁の長さ、高さ、奥行きをそれぞれl,h,wとします。
このように簡略化された状況下で、たわみyの計算式は以下になるんだそうです。
- P[kg]は梁の上に載る重りの重さですが、ここでは余裕をもって人間二人+αということで200kgの重量が載るとします。
- また、Eはヤング率と呼ばれる材質に固有の定数ですが、ツーバイ材のヤング率をネットで調べてもよくわかりませんでした(サイトによってマチマチなのです)。なので、ここでは90000[kg/cm^2]だとします。
計算結果
いくつかのl,w,hについてたわみyを計算したものが下表です(単位はcm)。
サイズ | 長さ(l) | 高さ(h) | 奥行き(w) | たわみ(y) |
---|---|---|---|---|
2×4材 | 210 | 8.9 | 3.8 | 1.92 |
2×6材 | 210 | 14.0 | 3.8 | 0.49 |
1×4材 | 210 | 14.0 | 1.9 | 0.99 |
仮に2×4材を使用すると、たわみは1.9cmです。結構たわみますね…。寝るときに床が曲がっているのが体感できそうです。なんだか危なっかしいですし、最悪折れてしまうかもしれません。
それでは2×6材を使用するとどうなるかというと、たわみは0.49cmです。これでも意外にたわみますが、許容範囲かもしれません。少なくとも折れることはなさそうなので、2×6材で制作しようと思います。
100cmの横板の重量計算
次に100cmの横板について考えます。すのこのように複数の横板が並んでいるため、人が乗った際に一つの横板に全重量がかかることはほぼありません。つまり重量は分散されるので、ここでは重さP[kg]は40kgとします。上と同じ公式で重量計算をすると、たわみは大体0.23cmになります。これなら問題ない範囲でしょう。
サイズ | 長さ(l) | 高さ(h) | 奥行き(w) | たわみ(y) |
---|---|---|---|---|
2×4材 | 100 | 3.8 | 8.9 | 0.23 |
1×4材 | 100 | 1.9 | 8.9 | 1.82 |
ここでちょっと気づいたことですが、120cmの梁のたわみ0.49cmと100cmの横板のたわみ0.23cmを加算した0.72cmが、床板全体のたわみですねー。